Saturday, 12 May 2012

カルカッソンヌとナルボンヌ

カルカッソンヌ Carcassonne

ヨーロッパ最大規模、全長3kmに伸びる城壁に囲まれた城塞都市カルカッソンヌ へ。 カルカッソンヌは地中海と大西洋、ヨーロッパとイベリア半島を結ぶ要衝として2500年の歴史を持つ。 古くはガリア人が住み始め、紀元前3世紀には最初の砦が築かれる。 その後古代ローマ帝国の都市として発展し、11世紀にはトランカヴェル家 (Trencavel) 統治のもとで最盛期を迎える。 

その頃カルカッソンヌのある南フランス、ラングドック地方で人々の信仰を集めていたのがキリスト教異端の一派、カタリ派。 カトリック教会の聖職者による汚職や堕落に反し、禁欲、清貧を重んじるカタリ派の人気に脅威を感じたカトリック教会はアルビジョワ十字軍を派兵して凄烈な異端狩りに乗り出す。 カタリ派を容認していたカルカッソンヌのトランカヴェル家は戦いに敗れ、城を追われる。 追いつめられたカタリ派は険しい山奥に身を潜めたが十字軍の攻撃は容赦なく降伏、14世紀には全滅したと言われている。 この時期、カタリ派弾圧のため火刑や告発が横行し、住民にとっては受難の時代となった。

城塞はその後フランス国王の所有となったが、17世紀には現在につながるフランス・スペイン間の国境線を定めたピレネー条約が締結されたことにより、カルカソンヌは、その軍事的・戦略的地位を喪失し衰退の一途をたどる。
19世紀には廃墟と化したが、今ではきれいに整備・復元され、ホテル、レストラン、商店が並んで多くの観光客を迎えている。
 
城砦の上から街を望む
フランス南西部の郷土料理、カスレ cassoulet。豚肉、鴨、ソーセージ、白インゲン等のぐつぐつ煮。お味は至って田舎風。 オーブン料理のようだがこうしてみると皆で鍋をつついているみたい。何でも昔敵に囲まれ、城壁内に籠城していた人たちがあり合わせの材料で作った料理とか言われている。 おいしいけど相当なこってり度。
食後に我れがガイド、ジャン・ポールが2本の笛を同時に演奏して披露してくれたオキシタンの音楽。雰囲気盛り上がります。いつものお気に入りのオキシタン色&マークのTシャツ。

ナルボンヌ Narbonne

午後からはナルボンヌ Narbonne へ。ナルボンヌはローマ時代からローマとスペインをつなぐ交易の街として栄えてきたが、街を流れるオード川が度重なる氾濫で川底の沈泥により船の航行ができなくなり、また海岸線が後退したため海港としての機能も果たせなくなってしまい街は衰退の運命をたどる。 

18世紀に地中海の港町セートSeteからガロンヌ川沿いのツールーズまでミディ運河Canal du Midi が出来、そこからはガロンヌ川がボルドーをへて大西洋まで繋がっているので一帯の交易と産業が躍進する。 その支流のロビーヌ運河Canal de la Robine がナルボンヌに到達することによってナルボンヌも活況を取り戻す。 
 
運河のそばにある市場。新鮮な野菜、果物、肉、魚、チーズ、おいしそうなパンやお菓子が山のように。農業国フランスの豊かさを感じないではいられない。
市庁舎、かつての大司教宮殿。この建物の前にローマ時代の道路が残っていた。
 
サン・ジュスト大聖堂 St. Just Cathedrale
サン・ジュスト大聖堂の中庭
 
ナルボンヌはまたシャンソンのシャルル・トレネCharles Trenetの故郷。 観光案内書すぐの建物の壁一面に壁画が。 Fidèle! Je suis reste fidele...  A Narbonne mon amie: とある。

 観光案内所の人もとても親切だったし、プラタナスが並ぶ運河も素敵だし、商店も親しみやすさを感じるし住み心地のよさそうな街。