Saturday 19 May 2012

ピレネーの黄色い列車 Le Petit Train Jaune

ペルピニャンに行ったのは、ピレネーの山の中をこんな電車で走ってみたかったから。
 
パリから来るTGVの終着駅ペルピニャンまで行き、そこから小一時間ローカル線に乗って、ピレネー山中のヴィルフランシュ・ヴェルネ・レ・バン Villefranche-Vernet-les Bains という長い名前の駅がここ。 ここからスペイン国境近くのラツール・ド・キャロル Latour de Carol までこの黄色い列車で片道3時間。 終点まで乗ると往復6時間かかるので途中まで行って引き返すつもり。 ところが乗ろうと思っていた9時45分発の列車は、、、。

車掌 「今日はそれ走ってないんですよ、マダム」(フランス語で話す時はこのマダム、ムッシュウを忘れてはいけない)
私  「でも時刻表にちゃんと印刷されてるでしょ?ムッシュウ」
車掌 「その時刻の列車は6月からのピークシーズンだけなんですよ、マダム。」
私   (そんな、、、。)

駅の切符売り場のお兄さんに
私     「次の列車まで4時間もあるし、駅の周りにはなにもないし、どうしたらいいかしら?」
お兄さん 「この先10分ほど歩いたところに古い村があって行く価値ありますよ、マダム。近くに洞穴もあって見学できるし。」

ということでピレネー山中の川沿いのこんな道をテロテロ歩いて、
まず行きついたのが洞穴。 ブルーチーズの里ロックフォールもそうだけどこの地方は地殻変動で出来た大きな洞穴が幾つもあるのだ。 中は見学用によく整備されていて地面は歩きやすいように舗装され、岩場は板が渡されていたり階段になっていたり、説明書きや順路の印も分かりやすい。 一番奥の広くなっているところはコンサートに使われることがあるのかステージと客席のようなものが設えてあり、オペラが流れていた。 さすが音響効果は抜群。
 
駅から洞穴へ向かう途中にあるのがこの中世の城壁の町。これまた長い名前でヴィルフランシュ・ド・コンフランVillefranche de Conflent 。 ここが入り口。 この屋根つきの城壁はユネスコの世界遺産に登録され、年間50万人の観光客がここを訪れているのだそうだ。 山の中腹に町を見守るように要塞が。 長い歴史の中で異民族からの侵略から人々の暮らしを守ってきたのだろう。 
  
ピレネーの山々と城壁に抱かれた町。左の方の建物に掛っているのはカタロニアの旗。店先に掛っているオーニングも赤と黄色の縞模様のカタロニア色。 黄色と赤はそれぞれ「黄金」と「血」をあらわすカタロニアのシンボル・カラー。 
 
 鉄製の店の看板もそれぞれ嗜好を凝らしていて楽しい。
 
乗れなかった列車のお陰で思いがけずにこんな素敵な村に出会い、ゆったり散策して昼食もゆっくり楽しめちゃった。 旅のハプニングはこういう風に展開することがあるから面白い。
 
村の反対側の門。この屋根と城壁の間の隙間から的に矢を放ったりして戦っていたのだろうな。
 
4時間の時間調整を有意義に過ごし、列車は13時50分に発車。 
この列車も黄色と赤のカタロニア色。
こんな集落を通過し、
ほどなく雄大なピレネーの景色抱かれる。
15:25定刻に折り返し点のこれまた恐ろしく長く読み辛い名前の駅に到着。
その名もフォン・ロミュ・ロデイヨ・ヴィア Font Romeu Rodeillo Via 。 
あまりにもお天気が良いので帰りは無蓋車に乗ることにした。
高原のさわやかな風を存分に感じながら、もと来た道をもう一度じっくり。 山越え。
 谷越え、
いくつか駅過ぎ。 フォンプドルーズ・サン・トマ・レ・バン Fontpedrouse-St.Thomas-Les-Bains駅。 ピレネ・オリエンタル 標高1,051.52mとある。どの駅の名前もこんな風にやたらと長く独特。
橋を渡り、
町を通り過ぎ。 だけど、だんだん天気がおかしくなってきて、
トンネルを抜けると霧雨まで降り出し、山の気温は一挙に下がる。皆上着の襟をかき合わせたりフードをかぶったり、寒そうでしょ。
 
一旦無蓋車に乗ると途中の駅で止まらない限り有蓋車に移動できないのでどうなる事かと思ったが、ひどくなる前に無事終点に到着。 ピレネーの黄色い列車しっかりと楽しみモンペリエに帰りました。